小林製薬の紅麹製品が2024年1月頃から腎障害などを原因とした入院患者の原因となっているのではないか?ということで自主回収などになっている。
そんなわけで、紅麹と医薬品の歴史、紅麹と横紋筋融解症、欧州や台湾での紅麹の扱い、横紋筋融解症と腎不全について触れていく。
・紅麹とはなんなのか?
紅麹は沖縄の伝統食材でもあり、
血圧上昇の抑制を持つ【γ-アミノ酪酸】
コレステロール低下の【モナコリンK】
に着目して研究が行われてきた。
紅麹は赤かび(Monascus spp.)によって発酵させた米や大豆などの食材から作られる発酵食品のことである。
この赤かびは、日本や中国などで伝統的に利用されてきました。
紅麹は、発酵過程で赤い色素を生成するため、赤い色を帯びた食品として知られています。
紅麹には赤麹米(あかこうじまい)や赤麹豆腐(あかこうじとうふ)などの様々な形態があり、これらの食品は、日本や中国の伝統的な料理に使用されるほか、健康食品としても人気があった。
※参考:研究報告 / 沖縄県工業技術センター
紅麹発酵物の製造に関する研究
台湾では、前々から紅麹に関する危険性が指摘されていたことから2022年11月8日付で法改正されている。
赤麹を含む健康食品は
「この製品をスタチン系およびフィブラート系のコレステロール低下を目的とした医薬品または、グレープフルーツと組み合わせて摂取すると、肝臓や腎臓の損傷や横紋筋溶解症を引き起こす可能性があります。」
と警告が容器やパッケージに表示されるようになりました。
※参考:Regulations Governing the labeling of health food
・紅麹に含まれるモナコリンKとは?
紅麹に含まれ、コレステロールの低下などが期待されてきたモナコリンKは構造式がロバスタチンに酷似しており、論文・学術誌等でも前々からモナコリン系(ロバスタチン)と記載されたりもしてきた。
モナコリンKは天然のスタチンとも呼ばれる成分であることから、モナコリンKの高用量摂取やスタチン系、フィブラート系医薬品と併用することで【横紋筋融解症】の副作用リスクが向上することは容易に推測できる。
横紋筋融解症については後述する。
※日本補完代替医療学会誌 第6巻 第2号 2009年 6月 45-51
・麹の種類について
麹にも種類が多くある。
味噌、醤油、日本酒には【黄麹】
(黄色麹:Aspergillus oryzae)
泡盛には【黒麹】
(黒色麹:Aspergillus awamori)
焼酎には【黒麹】や【白麹】
(白色麹:Aspergillus kawachii)
紅酒には【紅麹】
(紅麹:meniscus)
紅麹は、カビが産生する色素の紅色が綺麗な紅色であることから着色料としても利用されている。
紅麹は中国では漢方薬などの医薬品としても利用されてきた。
1979年にモナコリンKは強力なコレステロールの合成阻害作用(HMGCoA-還元酵素阻害)が発見された。
1987年にロバスタチンなどの構造式から派生したコレステロール低下薬が製薬会社を通じて日本だけでなく世界中に販売される。
※日本補完代替医療学会誌 第6巻 第2号 2009年 6月 45-51