酒さ(Rosacea)は、顔面の皮膚に起こる慢性的な炎症性疾患です。
特に中年期に多く見られ、特定の要因によって顔が赤くなることが特徴です。
この症状は、「紅斑性酒さ」としても知られ、顔の火照りや毛細血管の拡張が見られます。
酒さの症状は、顔の中心部に赤みがあらわれ、特に鼻、頬、額、あごに顕著です。
この赤みは一時的なものから恒常的なものまで様々です。
一部の人では、赤い丘疹(膨らんだ小さな斑点)や膿疱(白や黄色の膿を含む斑点)が発生し、これが「丘疹膿疱型酒さ」と呼ばれます。
さらに進行すると、鼻が肥大する「鼻瘤型酒さ」や、目の炎症を伴う「眼型酒さ」へと発展することもあります。
酒さの治療は症状のタイプと重症度に応じて異なりますが、主にスキンケア、避妊とする食生活の改善、ストレス管理、適切な皮膚ケア製品の使用が含まれます。
医療治療としては、抗生物質の局所塗布や内服、特定のスキンケア製品の使用が推奨されます。
重度の場合には、レーザー治療などの医療的介入が考慮されることもあります。
増悪因子としては、紫外線、急激な気温変化、辛い食べ物やアルコールの摂取が挙げられます。これらを避けることも、酒さの管理には重要です。
ガイドラインによれば、メトロニダゾールなどの抗生物質の局所薬や、内服薬としてのドキシサイクリンが推奨されています。また、日常生活でのスキンケアが症状の軽減に役立つことが示されています。
酒さに関しては、以前は進行度に基づいた分類が用いられていましたが、最新のガイドラインでは症状別に分類し、それぞれに合った治療法を提案しています。
これには、紅斑毛細血管拡張型、丘疹膿疱型、瘤腫型・鼻瘤、眼型が含まれます。
紅斑毛細血管拡張型酒さでは、スキンケアの改善と炎症を抑える局所薬が推奨されます。
丘疹膿疱型では、局所抗生物質や内服抗生物質が効果的です。
瘤腫型・鼻瘤には、外科的な手術やレーザー治療が選択されることがあります。
眼型酒さには、眼軟膏や特定の目薬が推奨されることがあります。
<<酒さの主な4つの型>>
1. 紅斑毛細血管拡張型酒さ
(Erythematotelangiectatic Rosacea)
特徴: このタイプの酒さは、顔の中心部に持続的な紅斑(赤み)が見られるのが特徴です。しばしば、顔の火照りや熱感が伴います。また、顔の皮膚が非常に敏感になり、温水で洗顔するだけでも赤みが増すことがあります。
治療: 日焼け止めの使用、刺激の少ないスキンケア製品の選択、避免すべきトリガー(例: 熱い飲み物、スパイシーな食べ物、アルコール)の特定が推奨されます。必要に応じて、局所的な抗炎症薬やレーザー治療で毛細血管の見た目を改善することができます。
2. 丘疹膿疱型酒さ(Papulopustular Rosacea)
特徴: 痤瘡(にきび)に似ていますが、顔の中心部に赤い丘疹(突起)や膿疱(膿を含んだ斑点)が周期的に出現します。この型では一般的なにきびとは異なり、コメド(黒ずみ)は形成されません。
治療: 治療には局所的な抗生物質(例: メトロニダゾールクリーム)や、重症の場合は経口抗生物質(例: ドキシサイクリン)が用いられます。
また、スキンケア製品を慎重に選び、肌を刺激から守ることが重要です。
3. 瘤腫型酒さ・鼻瘤
(Phymatous Rosacea)
特徴: このタイプは、鼻やその他の顔部分(顎、額、耳、頬)に厚く硬い皮膚が形成され、顕著な突起や変形を引き起こすことがあります。最も一般的な症例は「鼻瘤(rhinophyma)」で、鼻が拡大し、赤く突出するのが特徴です。
治療: 早期発見と治療が重要です。進行した状態では、レーザー治療や外科手術によって余分な組織を削除することが一般的です。
4. 眼型酒さ(Ocular Rosacea)
特徴: 眼型酒さは、目の炎症を伴い、目の乾燥、刺激感、砂をこすったような感じや充血が特徴です。重症の場合は視力に影響を与えることもあります。
治療: 一般的な治療には、人工涙液の使用や、炎症を抑えるための処方眼軟膏、必要に応じて経口抗生物質が含まれます。眼科医の定期的な検診が推奨されます。
これらの酒さの各型に共通して、生活習慣の調整が効果的です。
避けるべきトリガーを特定し、それらの影響を最小限に抑えることが、症状の管理と進行の防止に役立ちます。