こんにちは。
株式会社Eternal Net (旧:AMI薬局)です。
今回はキノコ摂取による腸閉塞のリスクと予防方法
1. 背景:椎茸による腸閉塞とは
椎茸や他のキノコ類は健康に良いとされていますが、時に摂取後に腸閉塞を引き起こす例が報告されています。
特に、消化しづらい性質がある乾燥椎茸などのキノコを大きなまま摂取した場合、腸内で固まってしまい、いわゆる「植物性胃石(フィトベゾアール)」を形成する可能性が高まります。
2. キノコ類が腸閉塞を引き起こす仕組み
椎茸は食物繊維が豊富で、乾燥状態では約49%が食物繊維で、その82%が水に溶けない「不溶性繊維」とされています。
この不溶性繊維が消化されにくく、特に噛まずに飲み込まれると、腸内で「詰まり」を生じやすいです。
また、乾燥キノコは水分を含んで腸内で膨張するため、腸の狭い部分で詰まるリスクが高くなります。
3. 腸閉塞の症状と診断
腸閉塞が発生すると、通常以下の症状が現れます
腹痛と膨満感:腸が詰まっている部位から上流にガスや食べ物が溜まり、強い腹部の膨満感が生じます。
吐き気・嘔吐:腸が詰まることで消化物が逆流しやすくなり、吐き気や嘔吐が見られます。
便秘またはガスが出ない:詰まりの下流に便やガスが流れにくくなるため、排便が止まります。
椎茸などによる腸閉塞の診断には、CTスキャンが有効で、腸内の低密度の物体として映ることが特徴です。
これにより、手術を行わずに原因を特定するケースも増えてきています。
4. 腸閉塞の治療法
腸閉塞が重度の場合、特に内科的な治療では改善しないケースでは手術が必要です。
一般的には、以下の手順で治療が行われます。
保存的治療:軽度のケースでは、点滴などで腸の負担を軽減し、自然排出を待つ方法が取られます。
内視鏡的治療:一部のケースでは、内視鏡を使って腸閉塞の原因となるキノコを破砕し、大腸に押し流す方法が試みられます。
外科手術:内視鏡的治療が難しい場合や、腸が損傷している場合には、腸を開いてキノコを取り除く手術が必要になります。
5. キノコ摂取での腸閉塞予防方法
腸閉塞を防ぐためには、以下のポイントを心がけることが重要です。
しっかりと噛む:特に乾燥した状態のキノコはよく噛んでから飲み込み、腸での詰まりを防ぎます。
キノコを細かく刻む:特に食べやすくするため、乾燥椎茸を使う場合は事前に細かく刻んでから調理することで、詰まりにくくなります。
水分を多めに摂取する:水分を多く摂ることで、腸内の流れを良くし、食物繊維の吸水膨張による詰まりを防ぐことができます。
椎茸やキノコ類の摂取において、適切な調理方法や食べ方を意識することで腸閉塞のリスクを低減できるため、今後も注意深い食習慣が推奨されます。
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