ステロイド系内服薬は多くの疾患の治療に役立つ一方、特に小児において成長抑制という副作用が報告されています。
本記事では、国内外の研究と論文に基づき、この影響のメカニズム、程度、および治療における配慮について詳しく解説します。
具体的な影響の程度
1. 吸入ステロイド薬の場合
大規模研究によると、吸入ステロイド薬を長期間使用した子どもは、最終身長が平均1.2cm低くなる可能性があります。
ただし、気管支喘息のコントロールという治療の利点が上回る場合が多いとされています【6】【7】。
2. 内服ステロイド薬の場合
プレドニゾロン3 mg/m²程度の長期投与でも成長抑制を引き起こす可能性があり、内服薬の影響は吸入薬よりも強いことが多いです【6】。
一部の研究では、内服ステロイド治療を受けた小児で成長率の低下が報告されており、重症疾患の治療においても副作用への注意が必要です【8】。
【成長抑制を防ぐための対策】
・投与量と期間の最適化
ステロイドの使用は必要最小限に抑え、効果的な治療計画を策定することが重要です。
・代替治療の検討
可能であれば、副作用の少ない治療法への切り替えを検討します。
・モニタリング
治療中は、成長曲線を定期的にモニタリングし、成長の遅れが確認された場合は早期に対応します【7】。
・治療後のフォローアップ
治療終了後、栄養管理や運動などのライフスタイルの改善により、成長のキャッチアップが可能になる場合があります【8】。
【治療と成長抑制のバランス】
ステロイドの使用により一時的な成長抑制が生じる可能性がありますが、基礎疾患の管理が未治療の場合の方が、最終的な成長に悪影響を及ぼす可能性があります。
例えば、喘息を未治療のまま放置すると、慢性的な酸素不足が成長に与える影響はさらに大きいと考えられます【8】。
【結論】
ステロイド治療は、成長抑制というリスクがある一方で、疾患管理の利点が大きいことから、その使用は慎重に判断されるべきです。
治療を必要とする場合は、専門医と十分に相談しながら治療計画を進めることが重要です。
また、最新の研究やガイドラインを基に、最適な治療選択を行うことが望まれます。
・「ステロイド療法が小児の成長に与える影響について」日本小児アレルギー学会誌の総説に基づき、ステロイドのGH/IGF-1系抑制作用や成長板への直接的な影響、特にプレドニゾロンの長期使用による成長抑制について言及しています【6】。
(J-STAGE https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspaci/28/5/28_829/_article/-char/ja/))
・「吸入ステロイド薬による身長抑制」
小児アレルギー科医の備忘録
長期使用が最終身長を1cm程度低下させる可能性を示す研究が紹介されています【7】。
(Pediatric Allergyの詳細)
・「ステロイドのせいで身長が伸びる?伸びない?」
東京神田整形外科クリニックの解説で、吸入ステロイドを12か月以上使用した患者での平均1cmの成長低下のデータや、未治療と比較した場合の治療の重要性について述べられています【8】。
(東京神田整形外科クリニックの情報)